一昔前までは開業医といえばそれほど苦労なく成功しているような印象だったのですが、昨今では診療報酬の点数の減収、クリニックの増加、コロナ禍の影響などによりクリニックの運営が非常に厳しくなってきています。今後どんどん潰れてしまう開業医が出てくるのは間違いないでしょう。
そんな中でもクリニックというのは重要なインフラであり間違いなく開業医も残していくべき存在ではあるのですが、どのようにして開業医として生き残っていくのかそのために必要な術を私なりに考察してみました。
私は医療経営大学というのに属していまして、50〜60人くらいの仲間とそこで月一回以上丸一日勉強会に参加しています。それだけでなく経営者の会、医師会の会などの他の勉強会にも参加しています。
また成功している開業医の先生の本なども読みました。あらゆる勉強会で色々な方とお話しして、本も読み100人以上の開業医の先生の経験を勉強しました。
このような立場から非常に恐縮なのですが、見聞きした情報から手堅く経営されている方や成功されている方の特徴というのがある程度見えてきましたので、それについてここでは書きたいと思います。
特徴その1. 開業医自身がマーケティングをやっている
まずマーケティングとは何かということですが、マーケティングというのは自分の商品をお客さんに届けるための手法のことです。
今であれば駅看板、HP広告、HPコンテンツマーケティング、SEO・MEO対策、バス広告、電柱広告など色々とありますが金額的に考えても全てやるわけにはいかないと思います。いかに必要なマーケティングを選択していくのかは自身で考えなければいけません。それを初めから人に任せてしまうと所詮は“人ごと”なのでスピード感も鈍くなりますし鋭く自分の経営に発揮されない、自分の経営に返ってこないのです。全て“自分ごと”でやっていかないとマーケティングの反応に瞬時に対応できません。毎回返ってきた反応に対し、これはいいなとか次はこうしようとか新しい手法をとっていくためにも自分でやっていくことが一番良いマーケティング手法がわかるのです。
湘南美容外科の創始者の相川先生も、開業医・院長自身がマーケティングをすることがいかに大切かを説いています。私もその本を読んで勉強させていただきました。
マーケティングはまず自分自身でやって、自分でお金をかけたマーケティングがどう返ってきたのかを自分で噛みしめて、その方法を改善していくのか、または捨てるのかなどの選択をしながら自分の患者さんに自分の商品を届けるための努力をしていかなければなりません。
組織が大きくなったら人の手に任せることも必要ですが、まずは自分でやった上で理解した上で他人に任せるべきであり、基本は自分でやるべきなのではないかと思います。私も今現在自身でマーケティングをしております。このお役立ちコンテンツではなくマーケティングに関しては他のお役立ちコンテンツに今後書いていこうと思っています。
特徴その2. 創業者
これは私の勝手な偏見なのですが、2代目3代目の開業医の先生よリも創業者で自分で立ち上げた先生の方が手堅く経営し成功しているなと感じます。
2代目3代目というのは両親世代、祖父母世代が成功しているパターンが多く苦労しているのを見ていないので、もともと成功した状態であるのにわざわざ自分が努力しなくても成功するものだと思いがちになります。開業医が苦労して経営するという概念はあまり無いかもしれません。
昔は医者は偉い立場で“お医者さま”と崇められていたこともありますがそのような時代とは違い、今は医者の立場も変わってきています。最近開業した若い先生たちというのはそのあたりの違いもしっかりと理解しているので患者様に対してお客様という意識で接していますし、医者もサービス業でありしっかり努力をして集患しなければいけないというのをわかっているのだと思います。このことからも1代目、創業者として開業された先生の方が成功しているのだと思います。
特徴その3. 患者さん、スタッフに対して偉ぶらない
昔のお医者さんの特徴ですが“お医者様”と言われていた状況では、患者さんに対しても高圧的なお医者さんが多かったようなイメージがあります。スタッフに対しても乱暴な言葉使いをしているお医者さんも昔はよくみられました。
最近ではそのような態度をとるとすぐにスタッフもやめてしまいますし、患者さんも離れていってしまいます。患者さんやスタッフと同じ目線できちんと対応してあげられるお医者さんが評価されるのではないでしょうか。そもそも患者様でなくても誰であっても人間的に高圧的で乱暴な方とは接したくありません。社会を生きていくためにも誰にでも謙虚であるということは大事だと思います。実際に謙虚な先生のクリニックの方が患者来院数も多いように思います。
特徴その4. 継続的に勉強する
医療に関しても経営に関しても、日々状況は変化しています。医療においては新しい医療が出てくるのでチェックしなければいけないし、経営に関しても新しいマーケティングの方法や新しい採用方法や媒体など続々と出てくるので日々勉強して精通していかなくてはいけません。
よく“医者が経営なんて”というように医者が経営のことを考えることはないだろうと思われるのですが、私は医師が経営に興味がないことは絶対に良くないと思います。医者も経営を考えてしっかり勉強をしないとこれからの時代は絶対に立ち行かなくなると考えています。
医者が経営を考えることを意地汚いと考える人もいるのですが、私はそうは思いません。継続的に勉強をして今ある知識だけではなく毎日新しいものをブラッシュアップして医療に関しても経営に関しても新しい知識を入れていく。私の周りにはそういう人が多いのですがこのように常に新しい情報を取り入れて医療にも経営にも反映していく人が成功しているように感じます。
特徴その5. 仲間がいる
冒頭でも述べたように、私は医療経営大学に属しておりましてそこのFacebook(フェイスブック、以下FB)グループで大体50〜60人の開業医の仲間がいます。
スタッフでこういう問題が起きたとか、何か困ったことがあった時にはそこで問題を投げかけると、先輩医師や同じような悩みを抱えた人たちがそれに対して答えてくれます。そこで皆さんの経験を一気に吸収することができるので、困ったことがあってもここで聞けば解決に繋がるとてもありがたい仲間の存在です。
私が考えるのはマーケティングにおいても採用においても、方向性が正しく、きちんと然るべきところに然るべくお金をかければよっぽど失敗しないと思います。間違った媒体や業者にお金をかける、経費のかけ方を誤ってしまうと失敗してしまいます。業者さんには色々な人がいまして開業医を食い物にするような者たちもいます。そういう怪しい業者がきた時に、FBグループに「この業者知っている?」と投げかければ、「それ、うちと裁判になっているよ」「騙されかけたよ」「絶対にやめた方がいい」などと教えてもらえます。
決断する前に一旦ここで相談することで、何十万、100万単位のお金をかけなくて済みます。一回試してみなければわからないのではないかと思うことも大事なのですが、そこで未然に大金が無駄になるのを防げれば、本当に必要で効果のあるものにそのお金を使えます。私自身何回もそのように救われましたし、皆さんも同じように活用されています。それだけでもこのようなグループが存在していることのメリットは大きいと思います。
スタッフの悩み、採用の悩み、使っている媒体、マーケティングや集患にどういう媒体や業者を使っているのか諸々の相談事に非常に心強いものです。かつ経営者は孤独なので、仲間とたまにご飯に行くなどして交流しています。そういう意味でもありがたいなと思います。
特徴その6. 向上心がある
これは全部に繋がりますが、向上心があって人間としても経営者としても医者としても常に成長しようと考えて努力している人は手堅い経営で成功しているように感じます。また、向上心のある人のところには同じように向上心のあるスタッフが集まります。人として成長し続けるということはどこの立場であっても必要であると思います。そして発信することも大事なことだと考えています。